1982年
大阪市立東洋陶磁美術館設立

この美術館は、公立の機関ですが、実は私的なコレクションを以って生まれました。
すなわち、世界最高とも言われる陶磁器のコレクション、安宅コレクションの寄付で設立されたものです。
安宅コレクションは、総合商社だった安宅産業の会長で、創業家の二代目だった安宅英一が収集したもの。
油滴天目や、木の葉天目といった他に実物がわずかしかない謎めいた茶碗や、高麗青磁、北宋定窯の白磁など、国宝・重文級の一大コレクションでしたが、石油取引プロジェクトの失敗で経営は破綻。莫大な損失を出して倒産します。
債権者の住友銀行は、このコレクションを手に入れますが、これが散逸することを恐れた各界からの意見を受けて、実に太っ腹なことに、これを展示する美術館を作ることを条件に、大阪市にまるごと寄付してしまったという次第。元々がすごいだけに、設立当初から、陶磁器美術館としての箔が付き、同様の寄付が相次いで、世界最高峰のコレクションとなっています。
バブル以降の目先の利益ばかりに走るようになった現代の銀行や企業とは違い、なんだか壮大なエピソードです。

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