2002年
悪の枢軸発言

この日、アメリカ合衆国のジョージ・ウォーカー・ブッシュ大統領が、一般教書演説で北朝鮮・イラク・イランを「悪の枢軸(axis of evil)」と名指しで指摘し、物議をかもした出来事です。
この背景には、前年に起きた前代未聞の同時多発テロがありました。テロを主導したアルカーイダと関係の深いアフガニスタンのタリバン政権に侵攻し、対テロ戦争と呼ばれる状況下にあった中での発言で、従来よりアメリカと関係が悪く、テロ組織の背後に暗躍する支援国家という位置づけで、北朝鮮、イラン、イラクの3か国を批判したわけです。
イランはイラン革命後のアメリカ大使館占拠事件以来、イラクは湾岸戦争以来、そして北朝鮮は朝鮮戦争以来、仲が悪く、それぞれに大量破壊兵器の開発を進めていると見られていました(イランと北朝鮮は実際に進めている)。国連機関の査察を拒否するといった3カ国の対応もあったわけで、一概にブッシュ大統領の感情的発言というだけでもありません。
さらに5月には、ボルトン国務次官が、「悪の枢軸を越えて」という演説をおこない、大量破壊兵器を追求する国々としてシリア、リビア、キューバを追加指定。いずれも反米国家です。どちらの発言も、世界を動かすアメリカの不遜さや、安直さを感じさせる所があり、批判も多く出ました。そしてこれが2003年3月19日にはじまるイラク戦争へつながっていきます。
なお、北朝鮮が含まれているのは、イスラムだから敵視しているわけではないことへの調整、という見方もあります。
ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は、ベネズエラ、キューバ、ボリビアの反米政権による連携を「善の枢軸 (axis of good) 」と呼び、
イスラエルのオルメルト首相は、イスラエルと敵対するイラン、シリア、ヒズボラ、ハマースと、それらの協力者である北朝鮮を悪の枢軸と呼び、イスラエル外相アヴィグドール・リーバーマンも、イラン、シリア、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼んでいます。

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