1910年など
ハレー彗星が接近した日
ハレー彗星は人類にとって最も馴染みのある彗星でしょう。極端に長くもない76年周期で太陽系を回っており、見かけ上大きな彗星でもあることから、歴史上になんども記録されているのです。彗星の記録は中国でかなり古くからありますが、そのうちハレー彗星の軌道計算上一致する最古のものが、『史記』の「秦始皇本紀」始皇帝7年条(紀元前240年5月)に記載された彗星。日本でも『日本書紀』「天武紀」13年条(684年10月)に出てきます。
エドモンド・ハレーは過去の記録を見ているうちに、1682年9月15日に出現した彗星と、1531年8月、1607年10月27日の彗星の記録が似通っていることに気づきます。これは同じ彗星が何度も来ているのではないかと。そこで彼は、1757年ころに同様の彗星が現れると予言します。
1758年12月25日、予言通りの大きな彗星が出現し、ハレーの考えは証明されました。こうして彼の名前がつけられたわけです。
やがて天文学は発達し、人々の考え方も近代科学に根付くようになってきます。
1910年5月19日。ハレー彗星は地球に再び接近しました。人々は「科学的知識」によってパニックに陥ります。やれ酸素がなくなる、やれ青酸ガスで人類は全滅するなどなど。当時の科学によってもたらされたパニックでした。自転車のチューブを吸ったり、息を止める訓練をしたり、地面に穴を掘って潜ったり、滑稽なエピソードが残っています。もちろん冷静な人もいます。天文学者らが観測を試み、日本の在野の天文学者前原寅吉(眼鏡・時計商をしていた人物)によって観測は成功。彼の名は一躍知られました。
ハレー彗星は1986年2月9日にも接近しましたが、位置関係と光害などで地上での観測ではうまくいかず、観測衛星の打ち上げが盛んに行われました。次回の接近は2061年7月28日です。そのころまで生きている人もいるかも知れませんね。科学的観測はさらに進歩するでしょう。
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