1981年
陝西省で野生のトキ7羽が発見される

天然記念物のトキ。かつては一般的な鳥で、田んぼなどで普通に見られたといいます。
生息域も広く、北海道を除く日本列島、沖縄諸島、台湾島、朝鮮半島、沿海州、満洲、中国華北一帯にいました。
田を荒らすとして嫌われる一方、白に薄いピンクの翼の美しさは絵画にされ、シーボルトは標本を本国に送り、学名はニッポニア・ニッポンとなりました。
ところが、近代に入り、食用と羽毛のために乱獲され、みるみる数は減り、昭和初期にはほとんど見かけなくなります。佐渡島と能登半島、隠岐にわずかに生息していることがわかり、慌てて天然記念物にしますが、時すでに遅く、都市開発、農薬散布による餌の減少で、ほぼ絶滅してしまいます。1981年1月23日に、飼育以外の野生のものをすべて保護したときは佐渡にいたたった5羽だけでした。
研究例が少なく、繁殖は失敗。寄生虫の問題もあって、2003年10月10日に最後の1羽キンが死んで、日本のトキは絶滅しました。
一方、韓国や中国でも次々と個体は減少し、絶滅していきます。朝鮮半島では1978年に、中国でも1964年には姿が見えなくなりました。
ところが、1981年。トキは絶滅したと考えていた中国科学院が調査したところ、陝西省洋県で7羽がいるのを発見しました。その付近に生息していたのです。
保護と繁殖研究により徐々に数は増え、日本にも多数贈られるようになりました。日本と中国のトキは種類としては同じなので、絶滅したわけじゃなく、日本でも繁殖研究が進んでいます。
病気が流行ったりしなければ、いずれ日本の各地にトキの姿が戻ってくるかもしれません。そのためには、農薬の使用を抑えるなど環境改善も必要でしょう。

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