ビッグバン開始から約38万年後
宇宙の晴れ上がり現象

ビッグバン理論では、ビッグバンからおよそ1万分の1秒後に陽子や中性子が出来、3分後にはそれらを元に水素、ヘリウムの原子核と、電子ができます。この頃の宇宙は電子が自由に飛び回っていて光子が進むのを邪魔し、霧がかかったような感じだったと見られます。そして38万年後に、宇宙の温度が3000K(※1)程度まで下がったことで、それまで飛び回っていた電子が原子核と結合して原子が生成されるようになったと考えられています。
これにより、光子は電子に邪魔されること無く長距離を進めるようになり、宇宙は見通しが良くなっていった現象を、晴れ上がり現象、と呼んでいます。
この時、通るようになった光が、現在観測される「宇宙マイクロ波背景放射」です。これは全天でほぼ等方的に(同じように)観測され、約3Kの温度があります。「宇宙マイクロ波背景放射」は、ビッグバン理論が構築された際に、ジョージ・ガモフによって予測されたもので、1965年にはじめて観測されました。のちにアメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた宇宙探査機WMAPによって全天で観測されています。(※2)

※1:Kはケルビン。絶対零度(摂氏-273.15度(※2))を0度とする温度の単位で、イギリスの物理学者、初代ケルヴィン男爵ウィリアム・トムソンから付けられた。なお、摂氏はアンデルス・セルシウスの名から採った温度の単位で、水の凝固点を0度、沸点を100度とするもの。メートル法を採用している日本などの国で温度を表すときの基準。アメリカでは華氏を使う。(ファーレンハイトの名前から華氏。日常的に観測される範囲の温度を等分化した「温度目盛」でかつて欧米では一般的だった(華氏100度は摂氏37.8度で体温に近い))
※2: 観測の結果をもとに、宇宙の年齢は約138億年、宇宙の大きさ780億光年以上(宇宙は超光速で膨張しているため138億光年ではない。観測可能な範囲は全方向に約460億光年。その外側に観測不可能な領域が広大に続いているとみられる)、宇宙の組成もダークエネルギー68%、ダークマター27%、原子5%であることがわかった。

ウインドウを閉じます

総合年表

総合年表ブログ