1947年
ロズウェル事件

史上最も有名なUFO事件。
きっかけは、この年の7月8日に、アメリカ陸軍航空隊のロズウェル陸軍飛行場が発表した「ロズウェル近郊の牧場で壊れた空飛ぶ円盤を回収した」というもの。その数時間後には訂正し、観測用気球を回収したと発表し直した。このときは地元紙に記事が載っただけで終わった。ちなみにこの頃はまだ、UFOは「未確認の飛行物体」のことで、宇宙人の宇宙船という意味はない。
回収報道から30年後の1978年。民間UFO研究の第一人者であるスタントン・テリー・フリードマンによって、この出来事が紹介された。フリードマンは関係者を取材したとする内容を公表し、これは異星人の宇宙船の偵察機が墜落したもので、機体の残骸をアメリカ政府が回収し隠匿しているとした(異星人はレチクル座ゼータ星から来たとされる。これは別の宇宙人事件「ヒル夫妻誘拐事件」と共通)。この話がメディアで紹介されると一気に世界中へ広まった。ちなみに7月8日はロズウェル飛行場が発表した日付で、何かが牧場に墜落した日は1ヶ月ほど前の6月前半とされている。
アメリカ軍は、墜落したのは気球と発表しているが、これはただの気球ではなく、ソ連の核実験を捉えるための高高度音波観測用特殊気球(モーグル計画)を指す。軍事機密に属するため、知らない兵士がいてもおかしくはなかった。この他にKC97航空機事故や、人形を使った高高度降下実験ハイダイヴ計画の話が混ざっているという説もある。
ロズウェル事件の話は、その後「新しい話」が続々出現する。「目撃者」が次々と現れ、宇宙人の遺体を収容した、宇宙人は生きていた、宇宙人の解剖する様子を撮影したビデオが存在する、といったものから、宇宙人と接触交渉するアメリカ政府の秘密機関「マジェスティック(MJ)12」の存在と言ったものが付け加えられた(このMJ12についても、その後、話が追加され変化していく)。
こうして一時は大きな話題になったこの事件も、時がたつにつれて徐々に冷静に分析されるようになった。事件を肯定する発表をした自称研究者らの偽証の身分が明らかになったり、お互いに対立するようになって暴露合戦となり信頼を失ったりした。近年ではUFO研究者の間でも否定的に言われるようになっている。
また、天文観測技術の進歩や、科学的な宇宙生物学の誕生もあって、古典的な<宇宙人話>との乖離が大きくなっていき、稚拙なネタに見られる原因となっている。そしてロズウェル事件自体が、「オカルト社会現象」の社会学的研究対象にされるようになった。
文化的にも大きな影響を残していて、テレビドラマや映画のネタにもされた他、いわゆる「グレイ型」宇宙人のイメージは、それまでのタコ型宇宙人のイメージを完全に払拭している。なお文化的には当初からネタとして扱う傾向があった。

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