1865年
サルタナ号事故

アメリカのミシシッピ川を運行していたサルタナ号は、全長約80メートル、乗船定員376名の外輪蒸気船で、南北戦争の軍用船として徴用された当時としては大型の客船でした。徴用されて捕虜輸送に付いた際にボイラーの故障を起こしますが、徴用料のために無理して運行されていました。
捕虜の身から解放されて故郷へ戻る兵士や、一般乗客、乗員ら2500人もの人々を乗せ、甲板にまで人があふれるような状態のまま、さらに大量の食料品などの物資も積み込んでヴィックスバーグを出港します。しかし積載量をはるかに超えるため、バランスは不安定な上に、速度も出ず、なんとかメンフィスにたどり着きますが、メンフィスを出た直後、ボイラーが相次いで爆発し、大火になりました。人々は爆死したり、焼死したり、かろうじて川に飛び込んだものの多くも流され、判明しているだけで、1450人が死亡しました。実際には行方不明者がいるため、死者数は1700人を超えるとも言われています。
政府や軍部、船会社は事実を隠蔽し、賠償にも応じませんでしたが、一方で船舶の安全運行に関する規制は厳しくなり、この種の事故は激減しました。

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