1980年
天然痘根絶宣言

人類の有史以降で、社会に絶大な影響を与えた病気といえば、天然痘、ペスト、インフルエンザではないかと思いますが、特に天然痘は日常的に脅威だった病気です。
天然痘ウイルスの感染で発症する病気ですが、感染力が異常に強く、感染すると皮膚に膿疱が出来、高熱を発し、肺をやられて呼吸困難で死亡します。死亡率が非常に高く(20~50%とも)、たとえ助かっても、顔などに膿疱の跡が残る、いわゆる痘痕(あばた)になったので、見た目にも分かりやすい病気だったわけです。
ところが、感染発症して助かると、免疫抗体ができるためほぼ感染しなくなることも、人類は経験上から知っていました。それで古くから感染者の膿を体に付けるといった予防法が行われていたわけですが、これは感染発症する危険も伴います。そこで安全性を高めたのが、ジェンナーによる種痘。牛の病気「牛痘」を使ったワクチン接種で抗体を作るという方法です。
1958年、世界保健機構総会で、世界天然痘根絶計画が可決され、各国で対策を進めた結果、1977年10月にソマリアでの発症を最後に、発症者は見られず、1980年、WHOから根絶宣言が出されたというわけです。
ただ複数の国の研究施設内では今も生存しているとか。
現在では、抗体を持つ一般人はほとんどいないため、いま天然痘ウイルスが漏れたら、とんでもないことになると言われています。
歴史上の有名人でも、感染者はたくさんおり、日本では藤原四兄弟や右目を失明した伊達政宗なんかが有名。
一般的な病気だったこともあって、あばた、という表現も普通に使われてましたが、最近は差別用語扱いになっています。

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