1952年
原子力潜水艦ノーチラス(SSN-571)起工
ノーチラスは、世界初の原子力潜水艦です。ノーチラスの名はオウムガイのこと。ロバート・フルトンが設計した世界最初の実用型潜水艦の名前に採用され、ジュール・ベルヌの小説『海底2万里』に登場する潜水艦の名前にもなったことを受け継いでいます。
原子力の技術的実証も含めた実験艦で、同型艦のない1隻だけの船です。加圧水型原子炉を搭載しました。ノーチラスが失敗した時を考慮して溶融金属冷却原子炉を搭載したシーウルフ(SSN-575)も1953年9月7日に起工されています。
原子力という新技術実験艦といっても、艦の形状は旧式の潜水艦と同じで、現在の涙滴型とは異なります。
内燃機関の通常動力型潜水艦は、発電した電力を蓄電池に貯めて潜航するため、長期に潜航出来ず、発電用燃料と酸素の補給が必要なことから、短期間で浮上します。いわば「潜水できる水上艦」です。
一方、原子力では燃料交換が数年単位で、発電も出来るため、長時間潜航していられます(酸素は発電による水の電気分解で得られる)。つまり真の「潜水艦」をテストするのがノーチラスの最大の目的でした。
もっとも、狭い潜水艦で長期に潜航しているのは、乗員の精神上良くないし、食料は補給せざるをえないので、潜航は長くても2ヶ月程度です。
1955年1月17日ノーチラスの原子力航行は成功し、1958年8月3日には浮上せずに北極点を通過しています。
1980年3月30日に退役し、現在は博物館にあります。
一方、シーウルフは事故が相次ぎ、加圧水型炉に交換して就役しますが、1987年3月30日に退役後、原子力艦再利用プログラムで解体され、ノーチラスの影に消えた潜水艦となりました。
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